2017年の年末、2ヶ月間滞在していたマレーシアの観光地ペナン島で車に跳ねられるという事故にあいました。マレーシアでは交通事故が多く、日本人で被害にあっている人も多くいるようです。マレーシアで交通事故にあったときの対処法と注意点をまとめています。
もくじ
世界遺産の街ペナン島・ジョージタウンで交通事故にあった
街全体が世界遺産で有名なマレーシアのペナン島に2ヶ月ほど滞在していました。ペナン島ではコワーキングスペースを借りて毎日仕事をしていたのですが、ある日滞在中のホテルからコワーキングスペースに向かう途中で車にはねられました。
交通事故に巻き込まれたのは、ジョージタウン中心部から東側のPengkalan Weldという大きな道路へ向かう途中です。この先にお気に入りのカフェがありコーヒーを買いに行く途中でした。
写真左側のトラックが止まっているあたりで、写真手前から扉の辺りに向かって横断していたところ、歩道の2、3歩手前で右半身に衝撃が走りました。浮遊感を感じるなか背中に何かあたっている感触があり、このままでは落ちた後、最悪の場合上からひかれるかもしれない!と恐怖に陥りました…。
軽い脳震盪がありすぐには起き上がれませんでしたが、仰向けの状態で背中から落ち、両肘で受け身をとっていたみたいで腕の出血と全身の打撲だけですみました。
起き上がってみると、赤い車が5m近く離れたところに止められていて吹っ飛ばされたことに驚きました。幸い目撃者がいたので、証言を聴きながら朦朧とする頭で車の正面の写真だけ撮ることができました。
事故直後にわかっていた所見は怪我のみとはいえ、ちゃんと話すのもままならない状態で、一刻も早く病院に行きたいですが、警察署へ先に行った方がいいのか悩みます。とりあえず、マレー人相手に逃げられるとも限らないので、通っていたコワーキングへ寄ってもらい、助けてくれる人を探すことにしました。
マレーシア・ペナン島で交通事故にあったときにすること
現場の写真、相手の運転免許証の写真を撮る
事故現場の写真や車のナンバーをスマホで撮っておきましょう。撮影時間や場所も記録されるので、あとでポリスレポートを撮影するときに役立ちます。また、嘘の証言をされる場合があるので、できるだけ証拠を残しておきます。
事故が起きたときに必要なもの
- 車のナンバー
- 相手の運転免許証番号
- 相手の身分証明書(ID)
- 相手の電話番号
- 相手の保険会社
- 相手の勤務先
警察へ行く
「マレーシアでは,事故の届け出は交通警察に対し24時間以内に行うこと」とされているそうです。24時間以内に届出が行われないと、届出ができなくなる場合や、保険が適用できなくなることがあるそうです。
私のケースでは、事故直後に相手と私のコワーキングにいたマレーシア出身の知人の3人で一度最寄りの警察へ立ち寄り事情を説明しました。そこでは、簡単な説明だけで、後日ポリスレポートを作成するために警察署へ行くように言われました。
病院へ行く
加害者の車でペナン島の公立病院に連れて行ってもらいました。相手は、ホテルなどの送迎の仕事をしていて、事故を起こした時は仕事中だったそうです。仕事があるからと病院で私と知人をおろし、仕事へ向かいました。業務車なのでドライブレコーダーがついていたことは幸いでした。
公立病院の救急では、2時間ほど待ちましたが、ちゃんとした問診もせずあっという間に診察は終わってしまいました。その後さらに30分くらい待って、院内にある薬局で薬をもらいました。病院のシステムや表記がほとんど英語ではなかったため、現地の知り合いについて行ってもらうことをおすすめします。
うろ覚えですが、治療費で100リンギット(約2,500円)を支払ったと思います。
Penang General Hospital
警察の事情聴取を受けてポリスレポートを作成する
海外旅行保険の保険請求をする場合には、必ずポリスレポートが必要になります。
事故の2日後、交通警察署へ行き、2人の警察官なのかカウンセラーなのかわかりませんが、事故の様子を詳細にヒアリングされました。担当してくれた方が良い人で、加害者側が仕事を理由に警察の事情聴取にもこちらからの連絡や治療にも真摯に対応してくれないことを相談すると、弁護士の相談にも乗っていただきました。
Northeast District Police Headquarters(交通警察署)
作成されたポリスレポートを受け取るために、最初に行った小さな警察署にいかなければならないのですが、相手側がなかなか事情聴取に行かないので1週間以上かかりました。ポリスレポートの受け取りのときは、コワーキングの女性スタッフに付き添ってもらいました。警察官いわく加害者は中国人らしく、偶然にも付き添ってもらった女性スタッフの大学の知り合いだったそうです。(友達ではないらしい)
大使館へ連絡する
事故が起きても、日本大使館に連絡する義務はありませんが、事故対応に困った時は相談をすることができます。
ウェブサイト | 在ペナン日本大使館 |
電話番号 | (604) 226-3030 |
私立病院で検査をする
大使館に電話して教えてもらった日本通訳のいる私立病院も受診することにしました。私が受診したLoh Guan Lye Specialists Centre(ローガンライ)は、ウェブサイトから予約することができるので、日本語通訳が必要な旨と併せて予約をします。
ローガンライ病院では、海外旅行保険のキャッシュレスも対応可能でした。医療通訳の方は、日本人ではありませんでしたが好感のある方でした。医師も優しく、ゆっくりと丁寧な対応で診察していただきました。画像診断のデータが欲しいという要望にも対処してもらえました。
ペナン島の交通事情と注意すること
世界ワースト3の交通事故件数のマレーシア
マレーシアは、交通事故死亡者数が世界第3位の国で、10万人あたりの死亡事故は25件です。なかでもペナン島はマレーシアの中でワースト1の運転の荒さです。車の保有率は95%もあります。
参考|Bloomberg
運転が荒い
ペナン島は、信号が少なく、比較的広い道でも車道の中央線がない道路がたくさんあります。私が事故にあった車は大通りから曲がってきましたがその道路も中央線がなくふらふらしている車を見かけたことがあります。
一方通行の道に入ってくる車や、ウィンカーを出さない車も多いです。道幅が狭い場所やでもスピードが早く、車間距離も狭い上、急発進も多いです。
左側運転
マレーシアは左側運転のため、私たち日本人はとくに周りの車の動きに気をつけてください。
示談で済ませることが多い
マレーシアでは車の保険もありますが、事故を一度でも起こすと「No Claim Bonus(無事故割引)」が0になってしまいます。そのため、事故を起こしても示談で済ませることが多くあります。示談の場合は、ポリスレポートを作成すると保険会社に連絡がいってしまうので、ポリスレポートを作成しません。
今回のように人身事故の場合は、ポリスレポートを24時間以内に必ず作成しなければなりません。交通事故の場合、あとから鞭打ちや脳内出血などの症状が現れることがあるため、小さな怪我でもポリスレポートを作成するべきです。報告しなければならない事故で、未報告の場合は罰金が課されます。また、自分が怪我をした、相手に怪我をさせてしまった、車両が破損したなどの理由で日本の保険を使う場合は、ポリスレポートがないと保険を請求することはできません。
- ポリスレポート作成費用 : RM300(約7,500円)加害者が負担
- ポリスレポート提出 : 24時間以内
- ポリスレポート未提出の罰金 : RM500(約12,570円)
嘘の証言をされる、話し合いに応じてもらえない
話し合いを有利に進めるため、嘘をつく人も多くいます。また、日本人とわかってぼったくろうとする人もいるので 注意してください。
私のケースでは、私は横断前によく左右前後を確認して周囲に車がいないのを確認してからから渡り始め、渡り終える直前に事故にあったのに、私が飛び出してきたといったり、右折してきたのか左折してきたのかなど、警察での説明や第三者を交えた話し合いで毎回説明が一貫していませんでした。また、治療費や通院のためにかかるタクシー代を請求しましたが、払うと言ったり、突然大声でまくしたてたりされ、ペナンを出国する直前まで1ヶ月近く話し合いが終わりませんでした。
最終的に出国する前日にやっと事故にあった日に受診した公立病院の受診料RM100(約2,500円)だけ支払ってもらいましたが、こちらの出費の方が多く、体調不良や話し合いで仕事ができないといったデメリットばかりでした。一番は、親切で仲介してくれた友人の時間をうばってしまうかたちになり、本当に申し訳ない出来事でした。
「すみません」と言わない!
マレーシアに限ったことではありませんが、日本人の癖で、「すみません」「Sorry」という言葉をすぐに使いがちですが、本当に自分に非があるときのみに使いましょう。
交通事故にあって、動揺しているとき第一声に「Sorry」と言ってしまいがちですが、謝ったことでこちらに非があると捕らえられてしまいます。
海外旅行保険に入る
マレーシアでは、上級のレストランやショップでは通じるものの、ローカルな環境では十分ではありません。マレーシア旅行では日本の海外旅行保険に入ることをおすすめします。