もくじ
世界のリゾートで日焼け止めが禁止される?
2018年にハワイで世界初の日焼け止め禁止法案が上がったことで話題になりました。2020年から次々と、世界のリゾート地で日焼け止めに関する規制が始まっています。
パラオ
日本から程近いビーチリゾートのパラオでは、2020年1月1日からサンゴ礁を白化させる原因となる物質を含んだ日焼け止めの販売・輸入・持ち込みが規制されています。
パラオで規制される成分
【紫外線吸収剤】
- オキシベンゾン(Okybenzone)
- オクチノキサート(Octyl methoxycinnamate)
- オクトクリレン(Octocrylene)
- エンザカメン(4-methyl-benzylidene camphor)
別名:パラメトキシケイヒ酸2-エチルヘキシル、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル・メトキシケイヒ酸オクチル(旧称)
別名:2-シアノ-3,3-ジフェニル-2-プロペン酸 2-エチルヘキシルエステル
【その他の成分】
- トリクロサン(Triclosan)[抗菌剤]
- メチルパラベン(Methyl paraben)[防腐剤]
- エチルパラベン(Ethyl paraben)[防腐剤]
- ブチルパラベン(Butyl paraben)[防腐剤]
- ベンジルパラベン(Benzyl palaben)[防腐剤]
- フェノキシエタノール(Phenoxyethanol)[防腐剤]
- 禁止された成分を含む日焼け止めを輸入または販売した業者には1000ドル以下の罰金
- 有害物質を含む日焼け止めを持ち込んだ場合は入国時に没収
参考|「責任ある観光教育法2018(The Responsible Tourism Education Act 2018)」
ハワイ
日本人にとって定番のリゾート地ハワイでも、2021年1月1日からサンゴ礁に影響を及ぼすおそれのある日焼け止めの販売が禁止になります。
しかし、ハワイ・ケアラケクア湾州立歴史公園では2020年1月1日からすでに日焼け止めの使用制限が始まっています。
ハワイで規制される成分
- オキシベンゾン(Okybenzone)
- オクチノキサート(Octyl methoxycinnamate)
別名:パラメトキシケイヒ酸2-エチルヘキシル、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル・メトキシケイヒ酸オクチル(旧称)
- 禁止された成分を含む日焼け止めの販売禁止
参考|日焼け止め使用制限法案(2018)
現時点では、観光客が持ち込んだ日焼け止めは規制の対象外のようです。
フロリダ・キーウエスト
フロリダの最南端にあるキー・ウエストは、ダイビングやシュノーケリングが盛んです。キー・ウエストでは、2021年1月1日からハワイで禁止される物質を含む日焼け止めの販売が禁止されます。
キー・ウエストで規制される成分
- オキシベンゾン(Okybenzone)
- オクチノキサート(Octyl methoxycinnamate)
別名:パラメトキシケイヒ酸2-エチルヘキシル、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル・メトキシケイヒ酸オクチル(旧称)
- 禁止された成分を含む日焼け止めの販売禁止
アメリカ領ヴァージンアイランド
カリブ海に浮かぶ小島ヴァージンアイランドではハワイで禁止される物質に加えオクトクレリンを含む日焼け止めの販売、配布、輸入が禁止になりました。2020年3月30日から施行されています。
アメリカ領ヴァージンアイランドで禁止される成分
- オキシベンゾン(Okybenzone)
- オクチノキサート(Octyl methoxycinnamate)
- オクトクレリン(Octocrylene)
2-シアノ-3,3-ジフェニル-2-プロペン酸 2-エチルヘキシルエステル
別名:パラメトキシケイヒ酸2-エチルヘキシル、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル・メトキシケイヒ酸オクチル(旧称)
オランダ領ボネール島
カリブ海に浮かぶオランダ領ボネール島でも、ハワイで禁止される物質を含む日焼け止めの販売が2021年1月1日から禁止されます。
ボネール島で規制される成分
- オキシベンゾン(Okybenzone)
- オクチノキサート(Octyl methoxycinnamate)
別名:パラメトキシケイヒ酸2-エチルヘキシル、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル・メトキシケイヒ酸オクチル(旧称)
- 禁止された成分を含む日焼け止めの販売禁止
オランダ領アルバ島
ベネズエラ沖に浮かぶアルバ島では、2020年7月からオキシベンゾンを含む日焼け止めと使い捨てのプラスチック製品がすべて禁止になります。
アルバ島で規制される成分
- オキシベンゾン(Okybenzone)
- 禁止された成分を含む日焼け止めの販売・輸入・生産
- 使い捨てプラスチックや持ち帰り用コンテナ禁止
アルバ島では、ビニール袋の使用も2017年から禁止されています。
メキシコ・自然保護区域
メキシコでは、カンクンやリビエラ・マヤを含む一部の地域で非生物分解性の日焼け止めの使用が制限されています。ハワイやパラオのように法律で禁止されてはいませんが、有害物質を含む日焼け止めを使わないよう奨励しているリゾートが増えています。
メキシコで制限されている成分
- オキシベンゾン(Okybenzone)
- オクチノキサート(Octyl methoxycinnamate)
- エンザカメン(4-methyl-benzylidene camphor)
- パラアミノ安息香酸(PABA)
- ブチルパラベン(Butyl paraben) など
別名:パラメトキシケイヒ酸2-エチルヘキシル、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル・メトキシケイヒ酸オクチル(旧称)
禁止される日焼け止めの成分とサンゴの白化について
サンゴが白化する原因
サンゴを大きく分けると、サンゴ礁をつくる造礁サンゴと、単体で生息する非造礁サンゴに分類できます。グレートバリアリーフなどサンゴ礁の集合でみられるサンゴは造礁サンゴです。造礁サンゴの体内には、褐虫藻(かっちゅうそう)という植物プランクトンが共生していて、褐虫藻が光合成でつくりだした栄養をとっています。
サンゴは25〜28℃の水温に適していると言われています。海水温が30℃を超えた状態が続くと、サンゴの白化が起こり始めます。白化は、海水温以外にもストレスなども原因になります。環境ストレスにより共生している褐虫藻が光合成できなくなると、サンゴは褐虫藻を外へ放出します。白化とは、サンゴの体内にいた褐虫藻がいなくなることによって、サンゴの白い骨格が透けて見えてる現象です。
参考サイト|
朝日新聞GLOBE+
地球環境研究センター
日焼け止めがサンゴ礁に与える影響
日焼け止め成分のオキシベンゾンやオクチノキサートなどは、紫外線吸収剤に分類される成分です。紫外線吸収剤は、日焼けの原因となる紫外線を吸収して熱などの他のエネルギーに変換することで日焼け止め効果を発揮します。
紫外線吸収剤がサンゴに接触すると、通常より低い温度でサンゴの白化が始まり数時間でサンゴが損傷されてしまいます。
また、紫外線吸収剤に分類される成分は脂溶性が高く、ホルモンなどの内分泌系に影響を与えると報告されています。
参考サイト|
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